政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
「当たり前でしょ? 大事なことは凛々子ちゃんからちゃんと聞いて」

 それでは遠回しに俺の勘違いではないと言っているようなもの。

 そうなのか? 本当に凛々子が俺を好き? だから綾子に嫉妬した?

 考えれば考えるほどそんな気がしてならない。

「ちょっとお兄ちゃん? ニヤニヤしないでよ、気持ち悪い」

「仕方がないだろ? そりゃ顔もニヤけるさ」

 ずっと好きだった。嫌われているとわかっていたからこそ、何度も彼女の好かれる日がくるとは夢にも思わなかったのだから。

 その夢が現実になったんだ。顔の表情筋も緩んで当たり前だ。

「夢見心地のところ申し訳ないけど、綾子をどうにかしないとお兄ちゃん、また凛々子ちゃんに嫌われる可能性もあるからね」

「そうだな」

 千鶴の言う通りだ。

「凛々子ちゃんに接触したからには、なにかしら仕掛けてくると思うよ? それこそお兄ちゃんと離婚に追いやるようなことを」

「やめてくれよ」
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