政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
「その可能性もあるって言ってるの! とにかく、自分の立場とか気にしている場合じゃないからね! いいじゃん、大好きな凛々子ちゃんと一緒にいられるなら、他はどうなったって」

「それはそうだけど、そうなったら凛々子を幸せにすることはできないだろ?」

 銀行との関係を崩さぬよう、綾子に手を引いてもらうのが一番だ。

 だけど俺の話を聞いた千鶴は、心配そうに瞳を揺らした。

 千鶴は会社のために凛々子に我慢をさせる、傷つけることも厭わないと考えていると思っているのかもしれない。

「言っておくけど、だからといって凛々子に悲しい思いなど絶対にさせないさ。凛々子を傷つけず、会社にも影響を及ばせない方法で解決する」

 俺の話を聞き、千鶴はホッとした様子。

「それならいいけど。でもどうやって?」

 食い気味に聞いてきた千鶴。

「それはまだ考えていない」

 正直に話すと、千鶴は「なんだ、頼りない」なんて言う。
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