政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
『嫉妬するってことは、もうお兄ちゃんのことが好きでたまらないんだよ! だったら伝えないと。……凛々子ちゃん、元カレのことがあって踏み出せずにいるのかもしれないけど、元カレとお兄ちゃんは違うからね? 絶対に凛々子ちゃんを悲しませるようなことはしないもの』

 自信を持って言う千鶴ちゃんに、思わず言い返した。

「どうしてそう言い切れるの? だって現に私の気持ちが変わったでしょ? あんなに文也のことが好きだったのに、今は零士君のことを好きになっている。それなのに零士君の気持ちが変わらない保証なんて、どこにもないよ」

 そうだよ、保証なんてない。いくら兄妹でも零士君の気持ちをすべて理解できているわけではないでしょ?

「それなのに簡単に好きなんて言えない。その後が怖いもの」

 想いが通じ合えた幸せがずっと続くとは限らない。いつ終わりがくるかもわからないもの。

 すべて吐き出してから気づく。これはただの八つ当たりだと。千鶴ちゃんは私のためを思って言ってくれたのに。
< 162 / 225 >

この作品をシェア

pagetop