政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
 想いが通じ合えても、こうして意地悪なところは変わらないようだ。

「もう、そういう恥ずかしいことを言わないで」

「言うよ。恥ずかしがる凛々子は可愛いし、その姿を何度だって見たいから」

 またこっちが耳を塞ぎたくなるような甘い言葉を、いとも簡単に言う。

「だから一緒にお風呂に入りたいところだけど……」

 そこまで言いかけると、零士君はリップ音を立てて唇を塞いだ。

「んっ」

 思わず声を漏らすと、零士君は甘い吐息を漏らす。

「はぁ……。だめだ、今は早く凛々子に触れたくてたまらない」

 そう言うと零士君は私の身体を抱き上げた。

 突然宙に浮いた身体に悲鳴を上げて、彼にしがみつく。その間も零士君は寝室に向かって足を進めていく。

 さっき、今と同じように零士君は笹野さんを抱いていたんだよね。そう思うとおもしろくない。

「ねぇ、零士君」

「ん? どうした?」

 甘い声で聞いて来た零士君に、思ったことを素直に伝えた。
< 190 / 225 >

この作品をシェア

pagetop