政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
「こうして抱っこするのは私だけにしてね。……他の人にしたりしないで」

 彼の逞しさとぬくもりを感じ、幸せな気持ちでいっぱいになる。この気持ちを自分以外の人に知られたくないもの。

 その思いで言うと、零士君は廊下で足を止めて深いため息を漏らした。そして恨めしそうに私を見る。

「勘弁してくれ。そんな可愛いことを言われたら、優しくしたいのに自信がなくなる」

 大股で移動して寝室のドアを開けると、私をベッドに上に下ろした。そのまま覆い被さってきた彼の首に腕を回す。

「零士君はいつだって優しいよ。それに私、零士君にならどうされたってかまわない」

 大好きな人に求められて、嫌になるわけがないもの。

「凛々子……」

 私の名前を呟くと、早急に唇が塞がれ、余裕ない手つきで服を脱がされていく。

 直に触れる大きな手が、ビクッと身体が反応してしまう。

 二度身体を重ねただけなのに、零士君は私が感じるところをすでに熟知している。
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