政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
 お菓子はどうしようかな、千鶴ちゃんが好きなチーズケーキにチャレンジしてみようかな。

 両親の教えもあって、幼い頃から料理をしてきた。嫌いじゃなかった料理が大好きになったのは、零士君と結婚してからだ。

 誰かのために作る料理はすごく楽しい。それをおいしそうに食べてくれる人がいると余計に。

 今日も千鶴ちゃんに喜んでほしくて、チーズケーキを焼き上げた。

 部屋中にチーズケーキの匂いが漂い、焼き上がった頃にちょうど千鶴ちゃんがやって来た。

「いらっしゃい」

「今日はありがとう。ん? なんかすごくおいしそうな匂いがする!」

 出迎えるなり、玄関先で鼻をスンスンさせた千鶴ちゃんに笑ってしまう。

「チーズケーキを焼いたんだ。よかったら食べて?」

「わぁ~嬉しい! もしかして私が好きだから焼いてくれたの?」

「うん。千鶴ちゃんには、本当にたくさんお世話になったから」

 廊下を進みながら言うと、千鶴ちゃんは背後から私に抱きついてきた。

「もう凛々子ちゃん大好き!」
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