政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
 我ながら本当に子供だったと思う。「ブス」だなんて、思ってもいないことを言ってしまったのだから。

 その逆だった。大きなクリッとした目が愛らしい可愛い子。それが凛々子に抱いた第一印象だった。

 凛々子を目の前にしたら恥ずかしくなって、素直になれなかった。

 その後も凛々子と会う機会が増えるにつれて、俺の気持ちは大きくなるばかり。

 笑顔が可愛くて優しい。素直で一生懸命で、コロコロと変わる表情に目が離せなかった。

 凛々子のことが好きでたまらなくなる一方、恋心をこじらせていった。

 好きなくせに意地悪をしたくなる。好きな子ほどイジメたくなるという、思春期特有のものだったと思う。

 最初は好意的で会うたびに笑顔で話しかけてくれていた凛々子だったけど、少しずつ笑顔を向けてくれることはなくなり、会っても言葉数が減っていった。

 嫌われて当然だと思う。ブスなど、心にもないことを何度も言っていたのだから。

 次第に俺も凛々子にどう接したらいいのか、わからなくなった。
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