政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
 凛々子と千鶴の仲が良いことはいいことだけど、いろいろと筒抜けなのは非常に居たたまれないものがある。
 返す言葉に困っていると、千鶴はゆっくりと立ち上がった。

「とにかく告白をした以上、絶対に凛々子ちゃんを振り向かせてよね。それでお兄ちゃんが凛々子ちゃんを幸せにしてあげて。……お兄ちゃんがどれほど凛々子ちゃんのことが好きか、私が一番よく知ってるもの。お兄ちゃんになら、安心して凛々子ちゃんを任せることができるしね」

 そう話す千鶴に頬が緩む。

「お前は凛々子の母親か?」

「気分はそうかな?」

 俺も立ち上がると、千鶴は人差し指を立てた。

「凛々子ちゃんを泣かせたら許さないからね! ……凛々子ちゃんの好きな人と結婚したいって願いを、絶対に叶えてあげて」

「……あぁ、約束する」

 その願いは俺自身の夢でもあるから。

 俺の答えを聞くと千鶴は満足げに頷いた。

「ん、それを聞いて安心した。私にできることなら、なんでも協力するから。いつでも言ってね」

「サンキュ」

 我が妹ながら心強い。

「あ、もちろんあいつへの制裁は忘れないでよね。たとえばほら、こういう時こそお兄ちゃんの立場と権力をフル稼働して、あいつが就職できないよう手回しするとか」
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