政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
「えっ!? 言うの? 例の彼氏にお兄ちゃんのこと」

「うん、もう隠し事をしたくないから」

 大学卒業を半年後に控えた日の夜。私は零士君の妹の千鶴(ちづる)ちゃんと駅前のカフェに来ていた。

 千鶴ちゃんは私の二つ年下で、零士君にそっくりな美人さん。なにかと気が合い、頻繁に連絡を取り合って遊んでいる。

 そしてなにより零士君とともに幼い頃からの仲で、彼女にだけは誰にも言えない悩みも相談していた。

 その度に千鶴ちゃんは親身に話を聞いてくれて、アドバイスしてくれている。そんな彼女に私は絶対的な信頼を寄せていた。

 だから千鶴ちゃんには、なんでも話してきた。両親にも言えない秘密の恋のことも。

 珈琲を飲んで喉を潤おした後、千鶴ちゃんは神妙な面持ちで私の様子を窺う。
 そして言葉を選ぶように、ゆっくりとした口調で私に聞いてきた。

「ねぇ、凛々子ちゃん。私……ずっと聞こうと思っていたんだけど、本当に凛々子ちゃんは今の彼氏のことが好きなの? これから先もずっと?」

「もちろんだよ」

 すぐに答えながらも、小首を傾げてしまう。
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