政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
 次第にお互いの息は上がっていくと、零士君は名残惜しそうにゆっくりと離れていった。

 でも少しでも動けばまた唇が触れてしまいそうな距離間に、瞬きすることもできなくなる。

 だって私を見つめる彼の瞳は熱を帯びていて、男の色気を含んでいるから。

 また目が離せなくなっていると、零士君は擦れた声で囁いた。

「この後はどうするか、凛々子が決めて」

「……えっ」

 聞き返すと零士君はリップ音を立ててキスを落とした。

「凛々子の嫌がることはしたくない。だから凛々子からお願いしてよ」

「そんなっ……! 無理だよ」

 恥ずかしくて言えない。

 パッと視線を逸らすと、零士君は素早く私の腰に腕を回した。

「逃げるなよ、凛々子。嫌ならちゃんと俺を拒絶しろ」

「そんな」

 がっちり身体をホールドされ、身動きが取れない。

「答えて、凛々子。……このまま続けてもいい? 凛々子のこと、めちゃくちゃに抱きたい」
 色っぽい声で囁かれ、ゾクリとなる。

 無理だよ、言えない。そんな恥ずかしいこと。

 でもそれを零士君は許してくれない。
< 81 / 225 >

この作品をシェア

pagetop