政略結婚から始まる蜜愛夫婦～俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない～
「それに俺のために一生懸命朝ご飯を用意してくれているんだろ？　それが嬉しくてさ。楽しみだな、凛々子の手料理」

「あんまり期待しないでね」

　おいしくなかったらショックだもの。

　釘を刺すと零士君は首を横に振った。

「大丈夫、凛々子が作ったものなら、どんなにマズイものでもおいしく感じるから」

　それは遠回しに私の料理には、期待していないって言っているようなものじゃない？

「それなりに食べられるものを作れるよ？」

「うん、わかってるよ。あくまでもたとえばの話だよ。凛々子が作ったものなら、なんでもいいってこと」

　ポンと私の頭を一撫ですると、「着替えてくる」と言ってキッチンから出ていった。

　なんか腑に落ちない。じゃあ零士君はどんな料理でも私が作ったって言えば、おいしいと言って食べてくれるってことでしょ？

　それは嬉しいことかもしれないけど、やっぱり心からおいしいと言ってもらいたい。
　もっと料理をお母さんに習っておけばよかったな。
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