政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
 完成した料理を皿に盛ってテーブルに並べ終えると、ちょうど身支度を整えた零士君がリビングに入ってきた。

 そしてテーブルに並ぶ料理に目を向けると、目を輝かせた。

「おいしそうだな。食べてもいい?」

「うん」

 零士君はお茶を淹れて私が席に着くまで、食べるのを待ってくれていた。

「いただきます」
「いただきます」

 向かい合って座り、手を合わせて食事をする。当たり前のことが、やっとできることを嬉しく思いながらも、やっぱり気になるのは料理の味。

 どうかな? 零士君好みかな?

 箸を手にしたまま彼の様子を窺う。すると味噌汁を啜った零士君は、顔を綻ばせた。

「ん、おいしい」

 心からの『おいしい』に胸を撫で下ろした。

「よかった。だし巻き玉子も食べてみて。あ、でも零士君、甘い玉子焼きは大丈夫?」

「うん、甘いの好き」

 そう言って零士君はおいしそうにだし巻き玉子を頬張る。私も箸を伸ばした。
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