溺愛予告~御曹司の告白躱します~
「だって…、だって嫌なんだもん!無理だもん!だからずっとただの同期でいたかったのに!」
「佐倉…」
「だって水瀬モテるじゃん!いちいち女の影に嫉妬して疲れるだけの恋愛なんてもうしないって決めてたのに!」
なんて失態だろう。
水瀬と歩いていたあの人は他の男性と結婚を決めていて、たまたま水瀬を見かけて結婚式の招待状を出したと世間話をしながら歩いていただけ。
そんなふたりを見かけただけで取り乱し、いらぬ想像をして泣いてしまうほど水瀬のことを好きになっていたなんて。
いつから芽生えていたのかも定かではないこの気持ち。
ずっと蓋をして鍵をかけて、『ただの同期』と呪文を唱えてまで外に出さないようにしていたはずだったのに。
「佐倉」
「無理…。バカみたいにモテるの絶対無理。元カノと長く付き合ってたみたいだし、無駄にイケメンだし、クールぶってるくせに面倒見良いし、変化に目敏いし、いつの間にか車道側歩いてるし、エスパーだし、王子のくせにカレー全部混ぜて食べるし」
「カレーの食い方に王子関係ねーだろ」
「変な殴りたくなる顔のパンダのスタンプ気に入ってるし」
「殴り…、可愛いじゃん。ってかさ…」
水瀬は両手で私の頬をぎゅっと包む。
その力が強すぎて、私の顔がひょっとこみたいになってる感じが否めないのだけどどうにかなりませんか。
「お前、俺のこと好きだろ」