溺愛予告~御曹司の告白躱します~
笑ってる。
嬉しそうに笑ってやがる。
「冤罪です」
「虚偽の証言は犯罪だぞ」
「…黙秘権を行使します」
「だから、それはもうほぼ認めてるようなもんだって」
「……」
「ほら、認めとけ。田舎のかぁちゃんが泣いてるぞ」
「私は東京出身です」
「そういう意味じゃねぇ」
ひょっとこ顔のまま見つめられるのがツライと睨んでいると、少しだけ頬を包む手の力が緩んだ。
「嫉妬するのが辛いって言うのなら、しなくて済むように甘やかす。佐倉がいいなら付き合ってることも隠さないし、会社とか立場とか関係なくベタベタに可愛がる」
「……」
「元カノには二度と会わないし連絡も取らない。むしろ向こうも取りたくないだろうし」
「…わかんないじゃん。水瀬だもん。しかも高校の頃からの付き合いだって…」
「俺がお前に惚れたから、他に好きな人が出来たから別れてくれって言ったんだ。入社してからはあんまり会ってもいなかったし」
「え?!」
そんな…。
だって、水瀬が電話で別れ話してたのって…確か入社一年目の頃で…。
「俺が水瀬ハウスの御曹司だって就活の頃に知ったらしくて。目の色変えたのに気付いてから、うまく付き合っていける自信はなかったんだ」
…爽くんも言ってたな。自分の周りには『御曹司』ってことに価値を見出している子ばっかりだって。