溺愛予告~御曹司の告白躱します~

なんてつい現実逃避に仕事の事を考えて、ふとある考えに思い至る。

「…どこのコンシェルジュサービスもみんな買い物までしてくれるの?」
「まぁ大体どこもそうだろうな」

待って待って。
じゃああの時。爽くんが風邪ひいた時、私が水瀬と喧嘩みたいになってまで、わざわざ彼のマンションまで出向いた意味は?!

「…あの、爽くんのマンション…も?」
「当然」

グルグルと一ヶ月程前のことを考えていると、じっとりと睨まれる。

まさか…。

「…口実?」
「それしかねーだろ。バカ」
「…返す言葉もございませぬ」

そこでうっかり私の水瀬への気持ちがバレて、本気で口説かれることになってしまったのだから本当に呆れるしかない。

爽くんにではなく、考えなしにのこのこ部屋へ行った自分に。

合わせる顔がないというように両手で顔を覆っていると、その手を取られ顔の両脇に縫い付けられた。

今度は柔らかく触れ合うだけではなく、まるで食べられるみたいな強引で濃密なキスが襲いかかる。

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