溺愛予告~御曹司の告白躱します~
ベッド以外にはすぐ側に小さなサイドテーブル。間接照明と観葉植物が置いてある程度で、物は少ない。
真向かいに32インチほどの壁掛けテレビと時計が設置されている。
時刻は午前九時を過ぎたところ。
一体どれだけ眠っていたんだろう。
隣に目を向けると、瞳を閉じていてもイケメンだと明確に分かる蓮がこちらを向いて眠っていた。
昨夜の甘く蕩けるような視線も、余裕の無さそうな獰猛さも鳴りを潜め、ただ静かに寝息を立てているのが作り物のように美しい。
「…王子のくせにスリーピングビューティーて。贅沢な男だな。一人二役か」
いつもなら心に留める呟きも、誰も聞いていないのなら声に出してしまえと油断したのがいけなかった。
見つめていた瞳がパチっと開き、堪えきれないように笑った。
「ぎゃ!お、起きて…」
「お前って…。初めて二人で迎えた朝の第一声がそれかよ」
くっくっと喉を鳴らしながら上半身を起こし、私の頭をくしゃくしゃに撫で回す。
よく見ると、蓮に借りた大きめのTシャツ一枚の私に対し、蓮はすでに身支度を終えているのか白いパーカーを着ている。
私の素足に当たるボトムの感触も、おそらくデニムだと思われる。