溺愛予告~御曹司の告白躱します~
「なに、すっぴんだと別人でわかりませんって?すみませんね、メイクで盛ってて」
買ってきてもらった中にスキンケアセットは入っていたものの、メイク道具は一切なかった。
もちろん自分の鞄の中に、ある程度顔が作れるメイクポーチは入っているものの、洗面所に持っていかなかったのでまだノーメイクのままリビングに来たのだ。
ぶすっと拗ねて口を尖らせる。
そりゃメイクも何もしないでその顔面の蓮には衝撃のビフォアフターでしょう。なんということでしょう。匠の技が光ってますよ。
「バカ、逆だ。なんですっぴんの方が可愛いんだよ」
「は?!」
「なんだろう、目かな。お前普段アイメイク、キツめにしてねぇ?」
「あー、まぁ」
確かに仕事用のメイクは童顔に見られないようにと、アイラインをしっかりめに書くのが癖になっている。
「オヤジにナメられない対策で…」
「絶対普通の方が可愛い」
「ひっ…!それ、さっきからのそれ…やめてくんない?」
言われ慣れない単語に嬉しさよりも恥ずかしさが先に立つ。
昨夜から私に隙あらば『可愛い』という言葉を投げつけてくる蓮にやめるようお願いする。
「なにが」
「…わかってるでしょ」
私が何を困惑しているのか、エスパー水瀬がわからないはずがない。