溺愛予告~御曹司の告白躱します~
「その格好、ラフでいいな」
ベージュのパーカーワンピにブラウンのリブパンツは、秋らしく落ち着いた色合いのワントーンコーデになっていた。
自分では無難な色にしか手を出さないから、こういうオシャレな色の組み合わせは新鮮でくすぐったい。
「確かに。こういうカジュアルなの好きだから嬉しい。コンシェルジュさんってセンスいい人しかなれないね」
そこまで言って、この一式を頼んだ蓮が支払いをしているだろうことにやっと気が付いた。
「あ、ごめん!お金!いくらだった?」
「いいよ、別に」
「いやいや、そんなわけにいかないじゃん」
基礎化粧品に服に靴、さらにクリーニングまでお願いしたのならかなり掛かってしまったはずだ。
「いいから。…もう『付き合ってもいない男』じゃないんだから奢られとけ。彼氏にならいいんだろ」
「か…」
彼氏って。
そうか。蓮は私の彼氏なのか。
確かに以前飲みに行った時、『女に金なんか出させられない』という蓮に『付き合ってもいない人に奢られる理由がない』と私は言った。
以来ずっと一緒に食事をするときは必ず割り勘にしてきた。