溺愛予告~御曹司の告白躱します~

「じゃあC室に変更でお願い」
「OK。それくらい内線でよかったのに」

会議室の変更くらい珍しいことじゃない。
わざわざ来てもらうほどのことでもないのに。

「バカね、仕事はついでよ」
「え?」
「水曜の同期会から間あけてあげたでしょ?聞かせてもらうわよ、あの後どうなったのか」

同期ならではの気安さで、グッと私に顔を近付けてきた。クール美女な亜美の顔が間近に迫る。

あの同期会でお馴染みの居酒屋で、蓮にキスされたのを見られていたのを思い出した。

「莉子、メイク変えたの?」
「え、あ、まぁ…少し」
「…へーぇ?それも込みで聞かせてもらおうかな。ランチ誘いに来たの。もう言い訳は…って、あら?」

獲物を狙うハンターのような目をした亜美の視線が私の首筋で止まる。

その視線の先にあるものに気付きバカ正直に真っ赤になって手で隠した私を見て、後ろに立っていた爽くんを可笑しそうに覗き込んだ。

「社内一のプレイボーイがフラれちゃったの?」
「そうなんです。これからって時だったのに」
「まぁうちの同期の水瀬くんは年季が違うよ」

「なにそれ」と小さくなって呟いた私に、亜美は「気付いてないのは莉子と橋本くんくらいよ」と笑う。

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