溺愛予告~御曹司の告白躱します~
「どうかしたか?」
「……別に」
でも今はそれ以上に物申したいことがある。
だけど始業前とはいえ会社でする話ではない。
「蓮兄、用が済んだら自分のフロア行ったら?かなり目立ってるよ」
爽くんの言う通り、始業前とはいえ大多数の社員がすでに出勤してきている。
半年前までこの課にいたとはいえ、朝から蓮がこの場にいるのはかなり目立つ。
「俺への牽制も…。めっちゃ目立ってるし、なんか逆に煽られる」
ニヤリと笑いながら私の首筋にツンと指先で触れた爽くん。
思わずビクッとして首を押さえると、蓮が物凄い勢いで私を引き寄せた。
「爽」
一言険のある声で名前を呼んで咎め、眼差しだけで相手を切り裂いてしまいそうな鋭さで爽くんを睨みつけている。
そんな朝のオフィスにそぐわぬ蓮の迫力にも「おー怖っ」と全然意に介さず首を竦め、自分のデスクに足をすすめる。
相変わらずの爽くんの態度に、怒っていいんだか安心していいんだかわからず苦笑するしかない。
すると私の腰を抱き寄せていた蓮が、幾分視線の鋭さを軟化させ私を見下ろした。
「お前、今週の水曜定時で上がれるか?」
「ん?あさってってこと?」