溺愛予告~御曹司の告白躱します~
入社後は配属先が違うこともあってなかなか会えないだろうと思っていたけど、俺達の期はかなり仲が良く、三ヶ月に一度は同期会を開いていたのでなんとか繋がりは保たれた。
それは橋本というムードメーカーが居たこともあるが、莉子の入社式での俺への態度も大きいと思っている。
あのやり取りがあったからこそ、俺は同期の輪にすんなりと入ることが出来た。
それから別れるタイミングがなく名ばかりの彼女にきちんと別れを告げ、なんとか莉子を自分に振り向かせようと考えた。
しかし当時の莉子には恋人がいて、デートでどこにいったとか記念日が近いなんて話を平気で俺にしてきた。
莉子の中には彼氏がいようと『会社の御曹司ならこっちに乗り換えよう』という考えは微塵も存在しないんだろう。
今まではそんな思考の女を嫌悪していたはずなのに、それを残念に思った自分に苦笑するしかない。
それから莉子が最低な恋人と別れたのをきっかけに、俺は気持ちを隠さずに莉子に接するようになった。
同じ部署だということもあり、仕事帰りに飲みに行くのも誘いやすい環境だった。
莉子にとってかなり近い男になれたと思っていたのに、俺が企画課に異動するタイミングで爽が配属されたのは予想外だった。
爽は女を見れば口説かずにいられないのか、とにかく女癖が悪い。
莉子の近くにそんな奴がいるのは心配で仕方ない。