溺愛予告~御曹司の告白躱します~
可愛いと言葉にして伝えれば、真っ赤になって照れながら悪態をつく。
そんなところも可愛いのだと、一体いつになれば気が付くんだろう。
付き合いだして一週間も経たないうちに、俺は莉子を両親に紹介した。
莉子は物凄く不安がって緊張していたけど、俺は絶対気に入られると確信していた。
何と言っても莉子は年上受けが良い。
これは営業で一緒に働いているときから羨ましいと思っていたが、天性の才能だと思う。
元来真面目な性格で一生懸命。
地頭が良いから話し相手をよく見て、相手が気持ちよく喋れるように相槌を打つのも上手い。
にこにこしながら話を聞いてくれて、さらにユーモアまであり機転も利く。
建築営業の業界では、若い女性はなかなか活躍の場がないというのが現状で、莉子も始めの頃は理不尽なことを言われては、よく飲みながら愚痴っていた。
それでも愚痴ってスッキリすると必ず『ああいうオヤジはメロメロに口説いてなんぼ!』と言い放ち、頭の固い年嵩の男相手に立ち向かう。
念入りに作った資料と倒れるまで無理して取得した資格で得た信頼、さらに莉子の魅力あふれるキャラクターを武器に有言実行。メロメロに口説いて契約を取り付けるのだ。
案の定、父とは恋愛結婚で今は専業主婦をしている母親はもちろん、我が社の副社長を務める父親は、そんな優秀な営業の莉子をいたく気に入ったようだった。
端から俺の恋愛や結婚に口を出す気はなかっただろうけど、莉子を気に入った両親が俺に見合いを持ってくる心配は万に一つもなくなった。