溺愛予告~御曹司の告白躱します~

そんなタイミングでの爽くんからの提案だった。

「それとも、俺と水族館デートしてくれます?」

ここのところ、ずっと一緒に残業続きなのを心配してくれたんだろう。

からかうように笑いながら、爽くんが私の持っているチケットを取り上げた時。

「おい」

後ろから不機嫌な声が聞こえた。

振り返ると、案の定そこにいたのは蓮だった。

久しぶりに会っても相変わらず威風堂々たる王子ぶりで、忙しいだろうに疲れた顔ひとつしていない。

スーツがよれてたり髪が乱れたりすることもなく、今日も満開のバラを背負っている。

私なんて疲労で化粧ノリまで悪くなっているというのに。解せない。

ここはずっと買うのを躊躇っていた超お高い美容ドリンクについに手を出すべきか…。

眉間にシワを寄せ、こちらを睨みながら足早にやって来た蓮は、爽くんが目の前でひらひらさせていたチケットを2本の長い指で取り上げた。

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