溺愛予告~御曹司の告白躱します~

「あ!莉子先輩にあげたのにー」
「お前は油断も隙もないな。勝手に莉子を物で釣るな」

怖い顔をして怒ってみせた蓮に、爽くんは肩を竦めながら笑うだけ。

そんな2人を隣で見ながら3日分の美容ドリンク代と効果の対比のそろばんを脳内で弾いていると、蓮の持っていた厚さ3センチはあろうかという分厚いファイルで頭をはたかれた。

「いった!!」

オーバーにリアクションをとったものの、大して重みのないファイルだったせいか、スパンと大きないい音はしたものの痛みはほぼない。

当然蓮もそれを折り込み済での所業だとは思うが、当然抗議はさせてもらう。

「ハードすぎツッコミ罪で逮捕します」
「じゃあお前は隙ありチョロすぎ罪で実刑だ」
「異議あり!隙のなさコンテストで日本代表になれるほどチョロくないでお馴染みの莉子さんですよ。控訴します」
「あほか、予選落ちだわ。控訴を棄却します」

ぐぬぬ。
切り返しの速さとキレが一段と増している。

ムッとして口を尖らせると、不機嫌だったのを若干のドヤ顔にしてこちらを見つめてくる蓮に、自然と笑顔がこぼれてきてしまう。

< 159 / 178 >

この作品をシェア

pagetop