溺愛予告~御曹司の告白躱します~

客観的に見ればバカみたいな会話の応酬だけど、恋人同士になってもこんなくだらないやり取りが出来る蓮のことが好きだなぁとしみじみ感じる。

恥ずかしいから口に出しては言わないけど。


「で?蓮兄はなんでこのフロアに?」

私達のやりとりを華麗にスルーした爽くんが訊ねると、蓮が持っていたファイルを差し出した。

「お前が見たいって言ってた資料。2年くらい前のだから使えるかわかんないけど」
「サンキュー。わざわざ持ってきてくれなくてもデータで送ってくれればいいのに」
「まぁそれはついで、っていうか口実。こいつの顔見に来た」

さらりと言って私に小さく微笑む蓮に、胸がぎゅっとなる。

ただでさえ最近会えてないのに、突然こんな甘い攻撃は反則だ。

ダイエットで断食してたのに急にチョコレートパフェを与えられた気分。

確かにお腹はすいてるけど、お粥からお願いしますっていう。胃もたれどころか内臓がバグを起こすレベル。

チョコパフェ男め…。

口には出せずに恥ずかしさに悶絶していると、爽くんが「バカップルにあてられて力が出ない…」と、餡が詰まった顔が濡れてしまった某ヒーローのようによたよたとベンチに倒れ込む。

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