溺愛予告~御曹司の告白躱します~

そして悟った。
不器用な私には仕事と恋愛の両立は不可能だと。

仕事は楽しい。
苦しいことも理不尽なこともあるけど、頑張りたいから手を抜くなんてことは出来なくて、自分に出来る百パーセントでやりたい。

そうなると自然と恋愛への比重が低くなって、恋人は私への不満を募らせ私以外の人との関わりが深くなっていく。

仕事を優先してしまうのに独占欲だけはしっかりあって、恋人が自分の知らないコミュニティでどう過ごしているのかが気になってしまう。

もっと言えば、浮気をしていないか疑ってしまう。

それを彰人との付き合いで学んだ。

しばらく恋愛はお休みでいい。
もし恋をするにしても、嫉妬で身を焦がすような恋はしたくない。

彰人と別れてこの一年半、ずっとそう思ってきた…、思ってきたはずだった。



◇◇◇

水瀬ハウス工業の自社ビルは、地下二階地上二十一階で水瀬ハウス工業の本社はもちろん、提携する不動産会社やインテリアデザイン会社もテナントとして入居している。

一階から四階まではショールームになっており、一般にも解放されていて土日には家族連れで賑わっていたりする。

建築メーカーの自社ビルということで、環境や省エネにも配慮された設計がなされており、何年か前に何とか省からなんちゃら賞をもらったと先日見返したホームページに掲載されていたが全く思い出せない。

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