溺愛予告~御曹司の告白躱します~
いちいち赤くなってしまう顔もどうにかしたい。
ファンデーションを厚塗りすれば顔色もわからなくなるだろうか。
もはや仮面をかぶっていたい。
似てるというのなら、あの殴りたくなる顔のパンダのお面でもかぶってやろうかと本気で考える。
頭の中でぐるぐる考えたまま何も言葉を発せなかったが、水瀬はさして気にしていないようでマイペースにカレーを食べ終えていた。
「定時で上がれそう?」
それはきっと先週から言われている約束の件。
いつも通りのポーカーフェイスでこちらを見つめている水瀬が、どことなくそわそわしているように感じるのは気の所為だといい。
「うん」
「じゃあ十七時半にそっち迎えに行くから」
「え?!いいよ、下で待ち合わせよう」
フラットにとんでもないことを言い出した水瀬に、ブンブンと首を振って拒絶を示す。
「そうでもしないとお前逃げるだろ」
「逃げない、絶対逃げないから。わざわざ営業課に来るのはやめて」
「…絶対だぞ」
じろりと睨むように確認され、私は大きくひとつ首を縦に振る。
なんとも信用がないなと思いつつ、先週の同期会を途中でこっそり抜け出している私はコレに関しては強く出られない。