溺愛予告~御曹司の告白躱します~
彰人と別れたのは、知らない女性と腕を組んでマンションに入っていったのを目撃してから半年も後、今から一年半前のことだった。
私はそのことを問い詰めることもせず、仕事も資格の勉強も疎かにすることなく、彰人との時間も確保しようと必死だった。
以前のように月に二度ほど会える日を作り、彼のマンションに行けば食事を作ったり家事を手伝い、仕事の愚痴を聞き、乗り気ではないセックスも求められるままに応えた。
彰人が本当に浮気をしていたのかは今となってはわからない。
私が勝手に頑張り、勝手に追い詰められ、勝手に倒れて限界を感じて別れを切り出すまで、彰人は変わらず優しかった。
彰人の部屋に入るたび、他の女性の影がないか探ってしまう。
会話をしていて知らない名前が出るたびに、女性なのか、どんな関係なのかと気になってしまう。
独占欲や嫉妬と呼ぶには私の気持ちは冷めていたように思う。
ほとんど彼に恋愛感情はなくなっていたのを自覚していながら、馬鹿みたいなプライドでその恋の舞台から降りるのを拒んでいた。
三年も付き合っていたので少なからず執着もしていて、自分以外の女性に心がいってしまう彼を許せなかった。