溺愛予告~御曹司の告白躱します~
こうして隣を歩くと、本当に人目を引く容姿だというのがよく分かる。長身でスタイルが良く、颯爽と歩く姿はまさに王子。
すれ違う人がみんな水瀬に視線を向けているというのに、当の本人はそんなことどこ吹く風。
さらに水瀬に目を奪われた人はもれなく隣にいる私にも目を向ける。
そして「なんで?」という疑問を隠しもせずに顔に出す。決して愉快な気分ではない。
でもそれももう慣れた。
世の中歩いているだけでこうも人目を集める人はそうそういない。
どうせならいっそバラでも背負って歩いたらいいのに。
「…なんか変なこと考えてるだろ」
「ふふ、変なことって?」
「『めっちゃ見られてる。さすが王子』みたいなやつ」
頭の中を覗けるのかというくらい言い当てられて驚いてしまう。
エスパーか。エスパー水瀬なのか。
「ちなみにエスパーじゃねぇからな」
「怖っ」
怖すぎるぞ、水瀬王子。
じっとりとした目つきで水瀬を見上げると、意外なほど優しい顔つきで私を見ていた。
「わかるよ。お前の考えてることくらい」
ニヤリとからかうように笑いながら言ってくれたら、こっちだっていつものテンションで返せたものを。
その甘い眼差しに含まれている感情は、およそただの同期に向けられるものの類いではないとわかってしまうから。