溺愛予告~御曹司の告白躱します~
その真意をわかりたくない。
わからないままでいたい。
「あそこだな、焼き鳥屋」
「…新しいお店?」
「みたいだな。そこでいいか?」
「うん。もう焼き鳥のお腹だもん」
「そこは口じゃね?」
「お腹でしょ」
結局、香ばしい匂いに負けてそのまま連れ立って歩き、出来たばかりだという焼き鳥屋さんに入った。
入り口を入るとそこは清潔感のある白木のL字型のカウンター席のみの作りで、一見焼き鳥屋には見えないほどオシャレ。
暖色の照明は来た客をほっとさせる効果があるのか、先程までの水瀬とのあいだにあった緊張感は薄れ席についた。
独自のブランド鶏を使った焼き鳥はどれも美味しそうで、いつくか定番のメニューと水瀬はビール、私はレモンサワーを注文した。
初めて来たこのお店は雰囲気もよく、焼き鳥も追加で注文した日本酒もとても美味しい。
店主おすすめというつくねを頼んでみると、小鉢の中で出汁と一緒に蒸し上げられたオシャレなものがカウンターに置かれた。
つくねを箸で割って口に運ぶと、優しい風味が広がってこれまた格別に美味しい。