溺愛予告~御曹司の告白躱します~
今まで生きてきた中で一番大きな声で呪いの言葉を叫んで、私は踵を返してエントランスから走って逃げ出した。
一瞬静まり返ったあと、後ろから爽くんの爆笑する声が聞こえたけど、振り返らずに一心不乱に駅を目指した。
◇◇◇
翌日はいつもより早めに出勤した。
もちろん化粧も靴もいつも通り。
いや、化粧だけは目元が少し濃いかもしれない。
腫れぼったくなったのを隠すのに若干いつもより塗りたくってしまった。
いつものココアを飲みながら昨日帰ってしまったため読めなかったメールを確認しながら返信する。
始業時間になったら課長へ昨日の生田化成での話を報告して、担当を変えてもらうように相談しなくてはならない。
本音を言えば、悔しいし担当を離れるのは嫌だ。
でもこれはビジネス。
昨日は爽くんが盾になってくれたおかげでなんとなく話が進んだが、いつまでもそのままでいるわけにいかない。