溺愛予告~御曹司の告白躱します~
「お疲れ」
「お疲れ様。ドリームカンパニー、どうだった?」
「あぁ、いい感じ。また纏めたら書面にしてそっち送るわ」
そう簡潔に話すと、私の反対隣に座っている亜美に声を掛ける。
「木本さん、結婚おめでとう」
「水瀬くん、お疲れ様。ありがとう」
「いつまで出社するの?」
「引き継ぎもそんなにないんだけど、きりもいいし今年いっぱいお世話になる予定」
「そっか、寂しくなるな」
ついて早々ちゃんと今日の主役に声を掛けて、にこやかに祝福する辺りはさすが王子。
女子がキュンとする仕草堂々一位(ただしイケメンに限る)のネクタイを緩める姿もちゃんとイケメンだから様になっている。
性懲りもなくまたそんなことを考えてしまった。
水瀬との間にあった気まずさは、今回のプロジェクトの忙しさの前に消えていた。
気まずいなとか、話ってなんだったんだろうとか、あの言葉の真意とか、そんなことを考える余裕もないほど忙しい一ヶ月だった。
やっとプロジェクトの形が整い、落ち着いて仕事が出来そうな兆しが見えたのがここ二、三日。
だから仕事抜きでこうして水瀬と話すのは、呪いの言葉を叫んだあの日以来今日が初めただった。