溺愛予告~御曹司の告白躱します~
「…あきらかに何かありましたよね」
運転しながら横目でこちらを見る爽くんに、なんて答えたらいいのかわからずにバカ正直に狼狽える。
「おととい、莉子先輩たちの同期会だったんですよね。…蓮兄と何かあったんですか?」
水瀬の名前に過剰に反応し、助手席でビクリと身体が跳ねた。
自分でも呆れるほど意識してしまっている現状にため息が漏れる。
あの居酒屋での一瞬のキスのあと。
『佐倉が好きだ』
逃げ回っていた私に引導を渡すように、しっかりと目を合わせて告白をされた。
あの水瀬が私を好きだと面と向かって言ってくれたのだ。
嬉しくなかったわけじゃない。
キスだって…驚いたけど嫌悪感なんて全くなかった。
水瀬が私を想ってくれている。そんな甘い予感はずっとどこかで持っていた。
だけど…。
私はそれに応えることは出来なかった。
だって水瀬はとにかくモテる。
同期の贔屓目なんかじゃなく、社内中の女子社員が騒ぐほど整った顔立ちの御曹司。
七光じゃなく仕事だって相当出来るのは、営業で同じ時間を二年過ごしたら嫌というほどわかったし、今回のプロジェクトでだって痛感した。