溺愛予告~御曹司の告白躱します~

やはり私は恋愛に向いていないんだろうと、何度考えても同じ結論が出る。

結局爽くんがどれだけ本気だとアピールをしてくれても、私にはお断りするしか出来なかった。


ここ一ヶ月は水瀬の部署と一緒に動いているプロジェクトに手一杯だったけど、次は大学寮の建て替えの営業も大詰め。

今日は女子寮の安全面の話を全面に押し出して話し、かなり好感触だった。
もしかしたら本当に残り三つの寮すべてうちで請け負えるかもしれない。

それなのに気持ちが弾まないのは、やはり一昨日告白してきた水瀬のことが頭から離れないから…。


会社のすぐ手前の信号で止まった車。
フロントガラスからは見きれるほど高い自社ビルを構えるこの地域は、近くに主要駅があるためどの時間帯も人通りが多い。

目の前の横断歩道を歩く人混みの中に、水瀬の姿を見つけた。

相変わらず身体にぴったりとフィットした上質なスーツを纏い、周りの人より頭一つ高い長身と憎らしいほど整った顔面はどこからでも目を引くオーラが滲み出ている。

「あ、蓮兄…」

爽くんも運転席から水瀬の姿に気が付いたらしい。
でも私の意識は爽くんの呟きよりも、水瀬の隣を歩いている女性に向けられていた。

水瀬よりは小柄であるものの、女性にしては背が高くスタイルの良い女性の姿。

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