溺愛予告~御曹司の告白躱します~
カシュクールの白いブラウスは大きく胸元があいているが、インナーの美しいレースが下品に見せずに華やかさを引き立てている。
ボトムはライトグレーのタイトスカート。ウエストマークにリボンを結んである。
オフィスカジュアルではあるものの、袖を通さず肩にかけられた黄色のカーディガンが差し色になっていて、ファッションセンスの良さが伺える。
足元は間違っても低ヒールの黒いパンプスなんて履いてなくて、アンクルストラップがリボンになっている八センチはあるであろう細いヒールの素敵なパンプスを履いている。
小さな顔にバランス良く配置された各パーツ、髪もふわふわに巻かれて肩口で揺れていた。
どこからどう見ても美人で、あの水瀬の隣にいても全く見劣りがしない。
「一緒にいるの確か、木島不動産のご令嬢だっけ…」
独り言のように呟いた爽くんの声を耳が拾って、じわじわと嫌な感情が胸を支配していく。
こちらには一切気付かずに横断歩道を渡り切り、会社の方へ向かう二人。
女性が何か話しかけると、水瀬は聞こえなかったのか耳を寄せるように女性の方に少し身を屈めた。
たったそれだけ。
それだけの光景を目にしただけで、喉の奥が焼け付くように痛み、口の中がカラカラに乾く。
手を繋いでいたわけでもない。
腕を組んでいたわけでもない。
ただ水瀬と釣り合いの取れるであろう家柄のご令嬢が、水瀬と釣り合いの取れる容姿をしていて、美男美女感満載でふたりで歩いていただけ。