あの夢の続きをもう1度描けたら
「あの、トラオムにとってドラゴンは当たり前の存在ですか?」
「ああ。ドラゴンと人が共存している。ただドラゴンは人が苦手だからあまり近寄ってこない」
トラオムの世界では当たり前なことを知らないわたしに、男性は丁寧に教えてくれた。
地球とは全然違う世界に来てしまったようだ。
すごい。まるでおとぎ話のような世界だ。
「すごいですね……クシュ」
「さっきので冷えたのかもな」
そう言われ、わたしは背中が冷たく感じた。
さっきのドラゴンの攻撃に当たらない代わりに、残骸の氷が背中に乗っかったみたいだ。
くしゃみをしたわたしに、彼は着ていた上着を脱いで肩に掛けてくれた。
「クレアツィオ・イッヒ・ゼルプスト」
そして彼が呪文を唱えると、背中の寒気が溶けていくように無くなっていった。
どうやら魔法で氷を溶かしてくれたみたいだ。
「ありがとうございます……!」
「さっきから座り込んでるけど、立てそうか?」
一回立ち上がろうとするが、まだ腰が抜けているようでできなかった。