あの夢の続きをもう1度描けたら

「俺、次の図書委員長なんですよ。だから柚子先輩に色々教わっているんです」

「そうなんだ……すごいね」

「そんなことありませんよ。柚子先輩だってすごいじゃないですか」

「たしかに……って柚子と同じくらいトモくんもすごいの!」

「あはは……ありがとうございます」


次の図書委員長か……。

委員長って普通3年生の先輩がやってくれるんだけど、今年は2年生で委員長になった柚子がいる。

それは異例な事でとても光栄なこと、とも言われている。

柚子だけじゃなくてトモくんもそういうことになるんだよね。


わたしはトモくんに敬意の念を抱く。


「じゃ、この段ボールは明日やりましょうか。雛乃先輩、今日はありがとうございました」

「いえいえー。明日もよろしくね!」

「はい」


トモくんは笑顔と無表情しかしてくれない。

しかもそのギャップが激しいのである。


今の微笑み……わたしがユキのこと好きじゃなかったらノックアウトだった。


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