あの夢の続きをもう1度描けたら


「気をつけー、礼」


チャイムの鐘が聞こえてハッと我に返る。

ちょうど号令が終わったみたいで先生が教室から出て行った。


久しぶりに授業寝なかった……!


喜ばしい出来事のはずだが、授業を聞いてなかったのでなんとも言えない。ずっとトモくんやユキのことを考えていたからだ。


トモくんがわたしのこと好きって柚子が言うから……。


もし本当だとしてもわたしがトモくんのこと好きじゃないから困る話なのだ。

全部柚子の気の迷いならいいんだけど……。



「はぁ……」


ため息で考え事を終えると、脳裏にユキの優しい表情を思い出す。


ユキ……会いたいよ……。


昨日もトラオムに行ったのに、もうユキが足りない。

末期症状だなと自分で笑う。


「雛乃。今日もよろしくね」

「はいはーい!」


これで今日最後の授業なので、わたしは荷物を持って図書館へと向かった。

昨日と同じ場所に行くと、トモくんが既に作業を始めていた。

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