あの夢の続きをもう1度描けたら
彼に見惚れてしまったわたしはハッと気を取り直す。
わたしは彼のペースに乗るまいと頭で巡らせてると、ドラゴンの存在を思い出した。
「あ、ドラゴン! どうしよう!」
「大丈夫だろ。大きな怪我じゃないし」
小さなドラゴンの姿を見ようと、彼の腕の中でジタバタ動く。
「おい、動くなよ。降ろすぞ」
「ごめんなさい。大人しくしてます」
大人しくして目だけ動かしてみると、小さなドラゴンは優しい眼差しでわたしを見送っていた。
か、可愛い……っ
と心で悲鳴をあげて、泣く泣く大人しくした。
「また会えますかね……?」
「会えると思うぞ。何せお前に懐いたんだから、向こうから寄ってくるんじゃないか」
そうだといいなと思いながら、頭の中でドラゴンの可愛らしい姿を描いていた。
***
やがて森から抜け出して、住宅街なのか人通りの少ない道に出た。
そこに広がるのは、入り組んだ石畳の路地に沿って木組みの家が立ち並ぶ“中世ヨーロッパ”のイメージを与える街並み。
ところどころ古い建物を改装したものを見られた。