あの夢の続きをもう1度描けたら
ノスタルジックな光景に惚けると、彼はふと足を止めた。
「ここは?」
「友達の家だ。よく世話になってるんだ」
彼はインターホン(すらあるかわからないが)を押さず、勝手に入った。
友達の家なのに、そんな自由でいいの?
親しき仲にも礼儀ありってあるよね……大丈夫なのか?
「クシュ」
「急がねーとな」
鼻がムズムズしてクシャミをしてしまった。
それに少し寒気もしてきた……主に背中なんだけど。
魔法でやってもらったのは応急処置に過ぎなかったのだろう。
「ユラハ。少し風呂と服借りるぞ」
「え、ちょっと……!?」
土足で部屋に上がると、ユラハと呼ばれた人が困ったように静止するが、彼がそのまま突き進んでいく。
わたしは身動きを取るわけにもいかないので、彼に身を任せる他なかった。