あの夢の続きをもう1度描けたら

***



「はぁ、はぁ……」


わたしは激しい勢いで起き上がる。


──もう翌日の朝になっているのだろうか。

時刻を確認するも、まだ日付を超えてなくて短針が9を指していた。


まだ夜……?

訳もわからないまま、わたしは一度お母さんとお父さんのところに行こうと階段を降りた。


「お母さ……」

「迅!? ……あら、雛乃? どうしたのこんな時間に。夜ご飯は机の上に置いてあるわよ」


リビングルームに入ると、お母さんから大きな声でお兄ちゃんの名前を呼ばれた。

どうやらわたしじゃなくてお兄ちゃんが来たのだと勘違いしたみたいだ。


机の上にはお兄ちゃんの大好きなハンバーグが置かれていた。

家族全員分のお皿があるからまだ全員食べていないのだろう。



「どうしたの? こんな切迫詰まって……お兄ちゃんに何かあったの?」


わたしはお母さんの声でお兄ちゃんに何か起きたのだと理解した。

──ザラームさんが言っていたことと関係しているのかもしれない。

< 246 / 316 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop