あの夢の続きをもう1度描けたら

ザラームさんを信じようか迷った。

でも彼は言ったんだ。


『お兄ちゃんの世界一の味方』だって。


そんな彼を信じてみようと思う。


「迅が……目的を果たしにいくって……っ」

「一体、何をするのか分かんないんだ……」


お母さんの隣にいるお父さんも動転していて、状況が追いついていないようだ。


お兄ちゃんは『目的を果たしに出かける』とでも言ったのだろうか。


両親が平静でいられてないから上手く事態の要旨が伝わってこない。

再度説明を要求したら、ゆっくりと順を追って話してくれた。


「迅がね、家に帰って突然“やることあるから出かけててくる”って……“今までありがとう。もう荷物はいなくなるから”って……っ」


「……お母さんがサラダを作ろうとした時、包丁が一丁消えてたことに気づいて、嫌な予感がとまらないんだ」


包丁ってやっぱりお兄ちゃんは殺そうとしている……?

そう思ったところでひとつ引っかかる点を見つけた。


「お兄ちゃんがお荷物ってどういうこと? お母さんとお父さんはそんなこと言ってないよね?」


そんなのは聞かなくてもわかる。
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