あの夢の続きをもう1度描けたら
「……だから俺は」
「でも!」
お兄ちゃんの言葉を聞きたくなくて遮る。
これ以上、お兄ちゃんの苦しんだ声を聞きたくない。
泣きたいのはお兄ちゃんなのに、わたしが泣いちゃう気がするの。
「お兄ちゃんがそんなことしたら、そこにいる最低な人と同じになっちゃう!」
お兄ちゃん、お願い。
わたしの話を聞いて。
「だから、辞めようよ」
そう告げて、お兄ちゃんは唇噛み締めて、その場を佇む。
そのそばには腰を抜かして座り込む、お兄ちゃんの本当のお父さん。
「……それでも俺は覚悟したんだ。だから……」
お兄ちゃんは何かの感情をぶつけるようにその人の胸ぐらを掴んだ。
「ここでお前が死んで俺も死んでやる!」
止めても無駄のようで、それでもお兄ちゃんを止めたくて。