あの夢の続きをもう1度描けたら

だけど、怖かった。

その目はもう覚悟を決めてしまったものだから。


「いくら周りが許したとしても、俺だけは絶対に許さないっ!」


──どうしよう。


お兄ちゃんをなんとかして止められないの?

わたしはまた何もできない……?

わたしはただ黙ってお兄ちゃんが人殺しになるところを見るしかできないの?


ザラームさんに頼まれたのに、わたしは……っ



『俺がそばにいるから。だから、頑張れ』


ふと、ユキの言葉を思い起こした。


なんでだろう。


わたしが笑顔になれるための勇気を……まだ諦めないぞっていう気持ちを奮い起こしてくれるのは。

こんな絶体絶命の状況だけど、もう少し頑張ろうと思えてくるのは。


ありがとう。ユキのおかげだ。


「お兄ちゃんっ!」


わたしはお兄ちゃんの背中に勢いつけて飛びついた。
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