あの夢の続きをもう1度描けたら
その背中が小さく感じた。
抱きしめてる背中は大きいのに、ひとりぼっちで誰かを求めてる子どもみたいなの。
お兄ちゃんは必死にわたしから逃れようともがいて、そして放たれる。
わたしも負けずにまたお兄ちゃんに抱きつく。
「……お兄ちゃん!」
「雛乃……もうやめてくれ! 俺を止めるな!」
「嫌だ! 絶対にやめない!」
力一杯お兄ちゃんを抱きしめて、包丁で相手を刺さないように腕を封じ込める。
お兄ちゃんの本当のお父さんがまだビクビクと震えている。
そんな彼に「お兄ちゃんから離れて」と目で訴えると、彼は気力を振り絞ってお兄ちゃんと距離を置いた。
「お兄ちゃん、わたしね……」
例え“血が繋がってなくても。”
わたしだけじゃない。お母さんとお父さんも。
お兄ちゃんの本当のお母さんも。
「愛してるよ……っ」