あの夢の続きをもう1度描けたら
静寂を誰も邪魔しなかった。そして、
──ぽた、ぽた、と。
わたしの手に何かが落ちた。
「……やめろよ……っ」
お兄ちゃんの雫だった。
わたしも抱きしめたまま、堪えきれずお兄ちゃんの服を濡らしてしまう。
「お兄ちゃん。苦しかったよね、辛かったよね……っ、気づかなくてごめんね……っ」
「……っ」
「お母さんとお父さんがお兄ちゃんを待ってるよ……ねえ、帰ろう」
お兄ちゃんの反抗していた手は、いつの間にか止まっていた。
わたしは「もう大丈夫だから」お兄ちゃんに笑いかける。
でも泣いてるから笑顔がぐちゃぐちゃだ。
「お兄ちゃん、大好きだよ。だから、もうお兄ちゃんが苦しんでるところを見たくない……っ」
「……っ」
「ずっと一緒にいたいの……っ、だから!」
ひとりで抱え込まないで。