あの夢の続きをもう1度描けたら

俺は、悲しかった。

大好きなお母さんお父さん……雛乃と血が繋がっていないという事実を受け入れられなかった。


どうやら俺はその女性と超人気アイドルの隠し子らしい。

それだけでも信じがたいのに、さらに女性は追い討ちをかける。


「今はアイドルの人権も尊重されるようになって、アイドルも恋愛とか結婚を許されることも増えたけど、まだ禁止されてた時。あなたのお父さんは恋愛をしない代わりに色んな女性と一夜限りの関係を次々と作り出していたの。私もそのうちの1人だった」


ロクでもねえ男だな。

その過ちで産まれたのが俺っていうわけなのか。


「私はあの人のファンでね、とても夢みたいで幸せな時間だったわ。だから一夜でも良かったの。それであなたを身籠ったときも大切に育てようって誓った」


しかし、その予想を遥かに上回ることを次に言われた。


「だけどあの人は許さなかった。まだアイドル人生を謳歌したいがあまりスキャンダルを恐れて、妊娠させた女性達のお腹を殴って、中絶させようと無理矢理迫ったのよ」


なんだ、それは……。

あまりに酷くて、言葉にできなかった。

< 263 / 316 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop