あの夢の続きをもう1度描けたら
「お兄ちゃん、わたしね……愛してるよ……っ」
「……っ」
「お兄ちゃん、大好きだよ。だから、もうお兄ちゃんが苦しんでるところを見たくない……っ」
そして背中から抱きついた雛乃から愛をもらって、
「ベニア・エドナデアティビ」
魔法を受けて、
自分の今までの心が浄化されたような気持ちに包まれた。
「うわああああああああ」
全てを諦めて今までの自分を許容した俺は、泣き叫んだのだ。
そんな俺を雛乃は優しく受け止めてくれて、情けないくらいに恨んでいた父親はどうでも良くなった。
雛乃は全然か弱くなかった。
凛々しい顔で魔法を使うところ、俺に真っ直ぐ想いをぶつけてくる妹は
俺の後をついていく雛鳥ではなかった。