あの夢の続きをもう1度描けたら
部屋に戻っても、わたしはまた思い返しては繰り返す。
「……っ」
あまりにも濃かったのだ。
トラオムが消えてしまっても、途絶えることなく一生この想いが失ってしまわないように。
そう願ってしまうから、わたしはユキを好きだと改めて自覚してしまうのだ。
するとコンコンとノックをされて、お兄ちゃんが部屋に入ってきた。
唐突のことで、わたしは涙を引っ込める時間を作れなかった。
「雛乃ー、ご飯ができたよ……雛乃?」
「ご飯? 教えてくれてありがとう、お兄ちゃん」
平然としてみようと努めたけど、お兄ちゃんが騙されるわけない。
お兄ちゃんは静かにドアを閉めた。
部屋のローテーブルに座って、黙ってわたしを見上げる。
その顔がとても優しくて、わたしはお兄ちゃんの胸に泣きついてしまった。
「最近、俺たちずっと泣いてるな」
少し落ち着いた後、お兄ちゃんが自嘲気味に言ったので、わたしは思わず同意して笑ってしまった。