あの夢の続きをもう1度描けたら

お兄ちゃんは何も聞いてこなかった。

もしかしたらわたしの恋愛について、とうの昔に察しているのかもしれない。


アランもユラハも、何も言ってないのにバレてしまったのだから。

お兄ちゃんもきっと同じかもしれない。


だって血が繋がった家族なのだから。


「……なんか、あの人のこともっと恨んでしまいそうだよ。殺さないけど」

「やめてよ。冗談キツいから!」


実際に殺しかけたのだから、お兄ちゃんの冗談は聞いててヒリヒリする。


「もしあの人がまともだったら、ユキはこの世にいたのかもしれないのにな」

「……そうだね」

「でもさ、考えてみなよ。俺も柚子もここで生きてるってことは、他の人も可能性あるよな」

「……!」


そういえば、確かにそうだ。

柚子が生きているっていうことは、柚子のお母さんは真白さんと同じように逃げたのかもしれない。

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